書籍「1分で大切なことを伝える技術」著者 齋藤孝 内容紹介
突然ですが、時間は「共有資源」である。
タイトルを見て「1分って短すぎない?」と感じた人もいるだろう。しかし、そうでもない。
逆に人を褒めるのに1分もかけないし、人に質問するのに1分もかけては遅すぎる。
また初対面の人の第1印象が決まるのは1分の会話術にかかっていると言える。
さらに人を叱るのに1時間以上時間をかけても効果は薄い、それなのに1時間以上、人に対してガミガミ怒っているなんて経験はないだろうか?
人に対して問題点を突き付ける、ただそれだけの作業を1分で終わらせられたらどれだけ時間が節約できるだろう。
「早いは遅いを兼ねる」のだ。話は長く話しても、短く話しても多くの場合、伝わり方にそこまで違いはない(特にコミュニケーションにおいて)
このブログ記事では、本書を少しだけ紹介し、最後は個人的な読後の感想を伝えたい。
・ストップウォッチを使うだけで仕事は早くなる
勉強やビジネスと、ストップウォッチは相性がいい。
基本的にビジネスと勉強では、効率を重視するからである。ただし女性とデートをする時は、ストップウォッチは使わないほうが良い、効率を重視しているわけではないからだ。
多くのビジネスパーソンは「午前中にこれをして、午後はあれをして」や「〇日までに納品」や「〇時から〇時まで〇〇をする」という予定を立てているはずだ。
しかし、そういう午前午後の予定や、何時から何時までとか、締め切りまで何日とか、大きな時間単位を意識する人はたくさんいるが、分単位、秒単位で時間を意識している人は少ない。だから結局ダラダラ時間を過ごすことになるのである。
そこでストップウォッチを使えば、仕事は確実に早くなる。目の前で時間の経過がわかると、自然と使い方の密度が濃くなる。問題を解くスピードも上がる。時間を測るからこそモチベーションが上がり、時間を短縮する快感を核とした学習回路が仕上がるのである。
・CMは教材になる
短い時間でメッセージを伝えるといえば、その典型例がCMだ。優れたCMは、実に勉強になる。
とりわけ私が興味を持っていたのは、以前のダイワハウスのCMだ。研究者らしき人物が顕微鏡をのぞいたところ、最近がぞろぞろとダイワハウスの家に入っていく。そこで研究者が「なんでダイワハウスなんだ?」
というフレーズをつぶやく。
たしかにこのフレーズには、人々の意識を喚起する力がある。CMである以上、商品や企業をアピールしなければならない。かといって商品の連呼で終われば嫌われる。メリットだけを強調しても効果が薄い。
企業のイメージ戦略も必要だ。その点「なんでダイワハウスなんだ?」には、ガツガツせず、かといって意味不明でもなく、視聴者側に「おや?」と思わせる秀逸さがある。
CMは15秒間にすべてを賭けている。「時は金なり」の世界に身を慣らしていくためには、最適の素材になりえるはずだ。
・減点主義はもう通用しない
日本は世界でもまれにみる減点主義の国である。
それでも国として歴史的に失敗してきたわけではないので、そのすべてが悪いとはいえない。
それに、ネガティブシンキングにも味わいがある。太宰治の「人間失格」のような絶望的なネガティブさは、人を引き付けてやまない。あるいはドフトエフスキーをはじめとするロシア文学の登場人物たちも、単純なポジティブシンキングの人などいない。それぞれにプライドが高い一方でコンプレックスにまみれ、実際にはなにもできない人ばかりだ。そういう人間臭い部分にこそ魅力がある。誰もがポジティブに効率を追求する社会が自然かといえば、けっしてそのようなことはないだろう。
とはいうものの、従来通りの減点主義が今の日本人にマッチしているかといえば、いささか微妙だ。
特に20代~30代以下の若者は「もっと励ましてほしい」「やさしくコーチしてほしい」という思いのほうが圧倒的に強いのだ。あるいは、あまりにネガティブ思考が強かったり、勝手に現状で自己満足している若者だっている。本来は何らかの能力を持っているのに、それを発揮しない、あるいは発揮しようともしない若者が多いとすれば、それは本人のみならず社会にとっても損である。そういう人に対しては、ポジティブな方向付けが必要だ。
↑これは第6章「賞賛文化を根付かせよう」の冒頭の内容であるが、非常に共感できる。
ここから褒め方についての講義が始まるのだが
「いつも成功している頑張っている人こそ褒めよう」や「○○さんがあなたのことを褒めてたよと伝えよう」
「究極の励ましの言葉 you can do it!」では、「あなたならできる」と言われることが成功条件だとも著者は語っている。
褒められる側も「ありがとう」と褒められた時に返しがちだが、返す時に印象が良いのは「うれしいです」などの喜びを表す言葉であるという。
・せっかくの出会いを次回につなげるために
初対面の場での最大のポイントは、最初の1分で共通の話題を見つけることだ。
お互いをつなぐ「一本の線」を発掘する作業ともいえる。それは時事問題やスポーツでもいいし、テレビ番組でもいいし、あるいは持ち物やペットなどでもいい。これには、その場を持たせること以外にも意味がある。より関係を深めて次回につなげるということだ。そういう関係を作れるか否かは、初対面の最初の1分の印象で決まる。
↑初対面で1分でそこそこ仲良くなるヒントが散りばめられている章があり、注目度が高いと思った。
同じパーティに来ている人で、一人で来ている人がいたら「今日はどういういきさつでここへ来たんですか?」「パーティは疲れますね」などの言葉なら話しかけやすい。
また、テレビの話題は一番広げやすい。「最近見たテレビ番組はなんですか?」「どんなテレビ番組が好きですか?」という切り出し方は無難である。
・最後に この本の簡単な評価
この本は評価迷いましたが、評価3.5(5評価中)としたいと思います。
ビジネスマン向けの内容でした。買って損はないと思いますが、「1分」へのこだわりを捨てて読んでみるというのが良いと思います。
僕は発見いっぱいありました。読んで正解だったと思います。図書館なんかでもあるかと思います、気になりましたら借りてみてください。
ご愛読ありがとうございました。