【第12章】(旧)ポエムと瞬きの日々に投稿された70の詩【5作品】
ご挨拶
当ブログをご覧いただきありがとうございます。
70作品中 56作品目~60作品目までを公開します。
全ての詩の作者は光彦です。
お楽しみいただけたなら幸いです
56作品目【世界で一番の愛】
2014年05月05日(月) 19時49分54秒
【世界で一番の愛】
世界で一番君を愛したら、
君も僕の愛に応えなきゃいけなくなるなら。
僕には君を愛する資格はない。
あまり愛さないほうが君を大切にできる。
君に愛されて僕が嬉しかったら、それが一番いいね。
でも君に対して、僕が与える愛の報酬を求めずにいることは、
君に愛されて僕は嬉しくならない、
という理屈になってしまうね。
愛しても返ってこない人より、
返してくれる人を愛すればいいのなら、
自分自身を自分で愛したほうが、
愛すると同時に見返りがあるのに。
自分を愛してくれる人を求めるならば、
自分を愛すればいいのにね。
57作品目【生クリーム】
2014年01月09日(木) 19時15分00秒
【生クリーム】
出てくれば根元からぐちゅぐちゅに、
ビスの頭のようなかわいらしさで
立つ塔を支えるかのような漆喰(しっくい)
あふれそうな思い、
甘いカレーのなかは粒状(りゅうじょう)の野菜
喉に食い込む光
もう冷静さ、
こんなに残念なのに、
後が残るよ、
いろどりやすく。
58作品目【切望は苦しみよりも甘い】
【切望は苦しみよりも甘い】
君とよりを戻そうとして、電話番号を見てた
こんな気持ちをぶり返したがために、
僕を好きになる人を、僕はきっと裏切れない。
どれほど夜にあこがれて、悩みつづけてよくもまぁ。
今夜の自分の余裕っぷりときたら
やり方次第で君を忘れられると言いたげな。
どれほど夜にあこがれて、悩みつづけてよくもまぁ。
もう向き合わないことができた時、
同時に夢と向き合えたものさ。
愛することが悲しくなったその反面、
愛されることの価値は増して、
僕はいつも以上に
人を大事にすることになるよ
もう愛することもいやになったくせに
また君に悩まされている
誰かが僕を連れだそうとしない限り
諦めようとしないなんて
切望は苦しみよりも甘いのかもね。
59作品目【窓からよだれ。羽ばたくペットボトル】
2014年06月13日(金) 16時18分15秒
【窓からよだれ。羽ばたくペットボトル】
窓からよだれ、床に吸わして、張りつめた空間、緊張を解きほぐしても。
解きほぐしたままふやけた床は、もとに戻らない。
小鳥は翼を折り畳むだけで寒さから逃れられそうだ。
今の僕を殺さなければ次の僕にはなりとうない。
投げ落とされた岩にかこまれた公園では、ペットボトルが透明の鳥になって飛んで行った。
僕がペットボトルなら逃げ遅れて潰されそうだ。
60作品目【電車の中の集合住宅】
2014年02月02日(日) 02時00分27秒
【電車の中の集合住宅】
色んな人が携帯電話を見たり本を開いたり、イヤホン耳に挿していたり、
寝たり話したりキョロキョロしたりなんかして、僕らの心ってこんなによくわからない。
電車の中で、みんな出られないこの空間が。
ねぇプライバシーって、その人自身が守ってるけれど、どうしてかな、その理由がわからなくなる。
僕の行動にケチをつけられるのは確かに嫌で、僕の情報を盗み見られるのも確かに気持ち悪いけど。
傷つけられるのを怖がって自分自身のことを一言も話さない無口な人になるのとは違うし、
情報を知りたい気持ちがないといったいどのようにして物を好きになれるだろう。
僕の口の中に小さい人がいて、その人が僕の口から飛び出してバタバタ落下して死ぬみたいな出来事を恐れて、
僕の口の中のプライバシーを守るのならば。
色の煤けた集合住宅の外観のような、表情を持たない、
入居者以外の立ち入りのない、淋しい建物になってしまう気がする。