(4冊目)「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える 伝える力 池上彰 内容紹介 

2021年3月27日

商談や会議、打ち合わせ、プレゼンテーション、企画書や報告書の作成、電話で交渉、メールを使った連絡、ファックス、手紙等々、人とコミュニケーションをとる機会は増える一方です。
さらに、YouTubeではコミュニケーション技術がお金に直結していると言っても過言ではありません。

今回当ブログでは、中でも本書の「ここは注意が必要」という部分に注目し、記事にしました。

(4冊目)「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える 伝える力 池上彰 内容紹介

・伝えるために大事なこと

あるとき、知り合いのアナウンサーが放送でニュース原稿を読んでいるのをなにげなく聞いていると、ある一か所っで突然、その内容が頭に入らなくなったのです。
放送が終わった後で、その人に聞いてみました。「今の放送で、意味が分からないまま読んだところ、なかった?」
思った通りでした。原稿を読んでいる時、突然ふっと集中力が切れ、その部分の原稿の意味がとれなくなったそうです。意味が分からないまま読んだり話したりすると、それを聞いている相手も意味がわからない。そのことを、私はこのとき初めて知りました。

伝えるためにまず大事なこと、それはまず自分自身がしっかり理解することです。自分が分かっていないと、相手に伝わるはずがないからです。

・伝える力を鍛えるためには、自分がにかに物事を知らないかを知ることである

私の若いころの話です
NHKの記者をしていた私は、警視庁記者クラブに所属して、殺人事件の取材を担当していたことがあります。警察官や現場近くの人から話を聞いて、原稿を書く。それがテレビのニュースになるのですが、翌朝、新聞を開くと、私の知らないことが載っていてびっくりすることがありました。同じところに行き、同じものを見て、現場の人から話を聞いていたはずなのに、できたものは全く違う・・・

これは単に私の取材力が足りなかったからだけなのですが、かなり落ち込みました。

私は「わかったつもりは怖い」と痛感したものです。それとともに、事実や物事に対して「謙虚になることが大切」であると身に沁(し)みて感じました。
知ったつもりになっても、実は知らないことは、誰しも山ほどあります。謙虚になれば、それが見えてきます。逆に言うと、謙虚にならないと何も見えてこないし、成長も上達もしません。

・プライドが高い人は成長しない

自信を持つことは一面ではとてもよいことです。自信を喪失して、意気消沈していては、いい仕事ができるはずはないでしょう。
しかし、その自信が過剰になると、えてして傲岸不遜(ごうがんふそん)になり、他者から学ぶことを拒むようになります。
これは文章力や話術に関しても言えます。
「俺は文章がうまい」「私は話すのが得意。交渉ならだれにも負けないわ」
自信があって、結構なことです。こうした自信を持っているのであれば、その自信は胸の内でひっそりと温めておく程度がよいでしょう。
あなたが本当に文章がうまく、話し方が魅力的な人であっても、まだまだ伸びる余地はあるのですから。

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」と言います。
謙虚に教えを請(こ)うことで、新たな知識を吸収することができる上に、こうした人の好感度は間違いなくアップします。
まず「自分はなにも知らない」ことを知り、他者から謙虚に学ぶことです。この姿勢さえ持ち続けていれば、コミュニケーション能力は確実に向上します。

・よい聞き手になるために

人は自分の話を聞いてもらうと、存外うれしいものです。まして初めて会った人が自分の話を熱心に聞いてくれると、感動すら覚えたりします。自分の話を聞いてくれる相手には当然、親しみを持つし好感度も増します。お客は商品を選ぶのではなく、商品を売りに来たセールスパーソンを選んでいるのです。
常に「おかげさま」の気持ちを持って、陰口や悪口は慎み、相手の話をじっくり聞く姿勢を持つ。そうすることで、好感度や信頼はずいぶん高まるし
「伝える力」にもいっそう磨きがかかるでしょう。

・難しいことも簡単に、書く、話す

難しく書けば(言えば)、立派なことを書いた(言った)気になるのは、勘違いも甚(はなは)だしいのですね。
難しいことでも簡単にわかりやすく書いたり、話したりすることこそ、実は難しく、高度な能力なのです。
難しいことをやさしく表現したからといって、中身自体の質が高ければ、中身が色褪(いろあ)せることはありません。
かみ砕いて表現できるのは、そのことについて、深く理解しているからこそなのです。本質をしっかり理解していれば、やさしい言葉に置き換えることは可能ですし、相手に対し、臨機応変の対応もできます。

「簡単なことは簡単に」
「難しいことも簡単に」
これは、なにかを伝えるときの基本です。

・日本人の2つの反応「ずるい」「うらやましい」

アメリカでは「むちゃくちゃ儲けました」と言ったら、よくやったと拍手喝采を浴びるような社会です。でも日本は違う。大儲けしている人がいたら、日本人は大方、二通りの反応を示します。
一つは「うらやましい」
これは、自分もそうなりたいという気持ちが背後にあって、さらに「がんばろう」という姿勢にもつながるから、ある意味健全です。
問題はもうひとつの反応「ずるい」です。
「なんだ、アイツばかり儲けて、いい思いをして、ずるいじゃないか」そう思って、その人の足を引っ張ろうとする。これは、言ってみれば嫉妬です。
これは決してよい反応とは思いません。私はこういう態度は大嫌いですが、でも、多くの日本人が多かれ少なかれ持っている感覚です。

・悪口は面と向かって言えるレベルで

たとえば何人かが集まって話をしているとします。そのとき、誰か一人がトイレに立った。すると、話題がその人のことになって、場合によっては、悪口を言ったりします。そうした場合、私は話題の主が戻ってきたときに「実は今、お前がいない間に、お前の悪口を話していたんだぞ」とわざと暴露します。本人がいないところで言う悪口は陰口になるからです。「きついな」と本人も悪口を言った人にも言われることがあります。
逆の見方をすると、悪口は本人に面と向かって言えるレベルにとどめるべきなのです。
人間だから人の悪口を一切言わないのは無理かもしれない。そこで現実的な線引きとして、悪口を言う場合は、面と向かって言えるレベルにとどめる。
そうすることで、人として最低限の品位は保つことができるし、人との信頼関係も築くことができるようになるはずです。

・ウケを狙うのは注意が必要

結婚式のあいさつでは、危ない思いをしたこともあります。結婚式では、今や定番のあいさつになった「三つの袋を大切に」という話。これは、知る人ぞ知る、有名な話。
この三つの袋には堪忍袋、給料袋、お袋、知恵袋、胃袋、手袋など、様々なバリエーションがあります。

「夫婦の間でも、いろいろなことが起こります。そんなときも、ぐっと我慢をして、堪忍袋を破らないように。それから、なんといっても、健康は大事。奥さんの作ったおいしい手料理を食べるのもいいけれど、食べ過ぎは禁物です。胃袋はくれぐれも大切に。そして、ご両親を大切に、お二人をここまで育ててくださったのですから。とりわけ、お袋を大切にしてください」こんなふうにあいさつします。

でも今では、手あかがつきすぎて、陳腐になってしまいました。聞いているほうは「またあの話かよ」という思いを抱いてしまうのです。
フトそんなことが頭をよぎった私は「三つの袋を大切に、という話がよく言われますが、今日のお二人に、そんなことを言う必要はないでしょう」という言葉がのど元まで出かけました。しかし、たまたまタイミングを逸し、これは言わないでおきました。すると、その後、なんと、まさにその話をする人が現れたのです。

「えー、今日の佳き日、若いお二人に、三つの袋を大切にという話を紹介しようと思います。一つ目は・・・」

ギョッとしました。冷や汗が出るというのは、こういうことですね。
「まさか今日に限ってそんなありきたりな挨拶をされる方はいらっしゃらないでしょう」なんて、ウケを狙って言ってでもいたら、その人の顔をつぶすところでした。
受け狙いは、見事に決まればいいですが、リスクも大きいのです。まさにハイリスク・ハイリターンです。

・順接の「が」は使わない

「~ですが」「~ではあるが」「~だが」は通常逆接です。それまでの文章の逆の内容をこれから否定する、ということです。

A・今月の売り上げ目標に達しなかったが、来月こそ、きっと達成して見せる
B・昨日はお客様の前で失言をしてしまいましたが、もうあのような失態は演じません。どうかもう一度チャンスをください。
C・セキュリティー対策は十分にとっていたというが、結局、ウイルスにやられてしまったじゃないか。

これらはいずれも逆接の「が」です。「が」の前と後ろで、意味が反対になっているからです。これが本来の「が」の用法です。

D・今日は天気がいいですが、お元気でしょうか?
E・彼は仕事ができるが、スポーツもできる。
F・当店でお買い物いただくと、お手持ちのカードにポイントがつきますが、水曜日は二倍のポイントがつきます。

DEFが順接や曖昧の「が」になります。これが入ると文章はわかりにくくなります。
ただし話す場合は、そこまで厳密に考えなくてもよいでしょう。使わないに越したことはありませんが・・・

・最後に、光彦からメッセージ

いかがでしたでしょうか??この本の評価は3(5点満点中)にしておきます。

ビジネスマン向けです(40歳以下対象らしいです)
本ブログを読んでいただければざっと「こんな感じの本なんだなぁ」というのはわかっていただけたかと思います。他「インプットは小説をオススメします」と書かれていた点と「文章力を鍛えたければ他人の文章を丸写しするのも効果的」や「叱るときは1対1で、褒めるときはみんなの前で」等、興味深い記事はたくさんありました。40歳以降でも十分楽しめると思います!

ありがとうございました。

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