【第3章】旧ポエムと瞬きの日々に投稿された70の詩【5作品】
ご挨拶
当ブログをご覧いただきありがとうございます。
新企画「ポエムと瞬きの日々に投稿された70の詩、第3章」を公開します。
ポエムと瞬きの日々は、2014年にアメーバブログで僕が詩を投稿していたブログでした。今はそのブログは閉鎖し、なくなってしまいましたが当時投稿されていた70余りの詩が僕のPCの中に入っています。
この企画は、その70の詩を全て公開するという企画です。それではどうぞお楽しみください。
11作品目【スピードを上げて】
2014年02月05日(水) 14時40分34秒
【スピードを上げて】作者 光彦
何度も前のページへ戻って、
何度も読み返しては立ち止まってる、
内容をうまく理解できないんだね、でも大丈夫。
進みなよ、次のコマへ、だって悩んでたんでしょ?
「わたしは本を読むのが遅い」って
進みなよ、録画していた映像だって、まき戻したりできるけど、
現実は過去へ戻れないのが実情さ、動きなよ。
だって悩んでたんでしょ?
「わたしは人よりワンテンポ遅い」って、でも大丈夫。
進みなよ、ケチケチしないって僕も決めたから、
一緒だよ、ほら、電話をかけてあげる、きっとそれが始まりの合図。
12作品目【ソルティドッグ】
2014年05月24日(土) 21時20分00秒
【ソルティドッグ】 作者 光彦
ソルティドッグ・・・グラスのふちに付いた塩にくちびるを這(は)わせて。
ああソルティドッグ。塩が染み込んだ舌から君はよだれをとけ込ませる。
sensitive(センシティブ)・・・ワイファイの電波を消して、もう携帯を触(さわ)らせない。
ああsensitive(センシティブ)。君のふとももを下敷きにして指で書いた「好き」の言葉。
夏の日差しを浴びせたように乾くアルコールを、「会いたい」とすぐに欲したよね。
麻酔のように宵(よい)が誘う目眩(めまい)の際(きわ)で、強く根を張り流されぬように。
紋(ミゾ)を包み込む液体のように、その紋(しるし)の形にくっつきたい。
フリルの重なりを一枚ずつめくれば、今まで過ぎてきた日々のようだね。
ソルティドッグ・・・匂いだけだとわかっても、思い出すには充分すぎた。
ああソルティドッグ。それはやわらかな蒸気のように肌を温めるのさ。
13作品目【それでも無理して微笑んで】
2014年03月27日(木) 05時00分36秒
【それでも無理して微笑んで】 作者 みつひこ
そば去るあてなき誰しもが、礼儀正しく隠す趣味。
微笑みで仕切り、嫉妬に目覚す事なきを得て。
趣味を鼓舞(こぶ)して、崩壊させても常識は、
無意識に、区別を許すことなどないのに。
(誰かと趣味を分かち合えば、そのたび誰かを遠ざけてしまう。
あなたは私の知らない趣味を誰かと分かち合うだろう、私を遠ざけながら。
「みんなで趣味を教えあおう、これからお互い知れば良い」
そんなわけにはいかないように興味は別の旅へ行く、貴方がまたも遠ざかる。)
14作品目【だるま】
2014年01月18日(土) 17時39分40秒
【だるま】 作者 光彦
だるま小僧の目が恐い。就寝時間に呪われそうで、しかしこの目の恐ろしさ、なんと魔除けになるというのか…
雑誌で読んだだるま、畑のカカシのように部屋で、侵入してくる悪い気には厳しいのに、家主には優しいという二面性を持っているのか。
麦わらは穴の空いた姿で痛いし、ささくれだってもいるみたい。子供がかぶっているものは、教育熱心に、ストラップにピンバッジにつけ放題の麦わら帽子。
ごほごほほこりを刷毛(はけ)ではいたら、ひょっこり出てきただるまさん、怖いだるまさん。
子供じゃないよだるまだよ、教育するよ望む未来に
15作品目【ティーカップの営み】
2014年03月01日(土) 15時49分50秒
42【ティーカップの営み】 作者 光彦
カウンターにいくつもティーカップ。
からっぽで、下げもしない。
シンクに平たい皿も汚くて、浅い鉢(ばち)ももっこう皿も角皿も急須も。
回転寿司につみ上がる皿も、わんこそばの積み上げ茶碗も、灰皿に溜まる吸殻とガムの包みも。
プリント用紙に教材と、ノートも増えて行き詰まる。
だから誰かが去ったけど、そのままにして去ったけど、小ぶりの雨を見舞うたか。
そう思うと何だか僕は、ロマンチックになる。
去っていった人がいる表を見つつ、ロマンチックになれる。
もちろん心配しながらにして。
カウンターにいくつもティーカップ。
花茶にダージリン。アッサムにアールグレイ。
ブレンドにエスプレッソ。
飲んだ分だけティーカップ。
言葉だけでは、さびしいけれど。