【第5章】(旧)ポエムと瞬きの日々に投稿された70の詩【5作品】

2023年4月20日

【第5章】旧ポエムと瞬きの日々に投稿された70の詩【5作品】

ご挨拶

当ブログをご覧いただきありがとうございます。
新企画「ポエムと瞬きの日々に投稿された70の詩、第5章」を公開します。

2014年のブログではブログ執筆者を「半ヴァンパイア」で登録していたので、作者は光彦(半ヴァンパイア)表記にしています。

今は亡き「ポエムと瞬きの日々」は、2014年にアメーバブログで僕が詩を投稿していたブログでした。惜しくもなくなってしまいましたが当時投稿されていた70余りの詩が僕のPCの中に入っています。

この企画は、その70の詩を全て公開するという企画です。それではどうぞお楽しみください。

 

21作品目【パン屋と花屋の並ぶトンネルに】

2014年04月08日(火) 07時00分00秒

【パン屋と花屋の並ぶトンネルに】
作者 光彦(半ヴァンパイア)

パン屋と花屋が並ぶトンネルに
パン屋はココアの匂いして
花の香りと境い目つくり
表だっている。

降りた霜が、竜巻のような落書きを、
浮き上げて壁をつたう。
暗い道を、飲み込んだ光が、
白くふちどり、眼球になる。

このごろは、冬の焚き火の焦げ臭い
香りを着込んで人々が、外から風を運んでくるのに。
結ばれてるのに別居する
焼きたて香るパンと花
心のキスならできる距離。

22作品目【ひどく悲しい光景】

2014年01月21日(火) 04時56分58秒

【ひどく悲しい光景】
作者 光彦(半ヴァンパイア)

赤や青の飲料を飲むのはおよし
父や母にはそう言われていたけど。
弟には口封じして、買い物袋その中には
黄色い液体。

僕や弟の部屋を通るたび、
なにか隠し持っていないかを疑う母
隠れて飲んだ小さな瓶の飲み物。
居丈高(いたけだか)に横目で
弟に視線を送りひやひやしながら空き容器を捨てる。

そのとき洗面所の床下収納庫に、
両手を伸ばし自分の体を維持した男の死体を発見した父は、
何度もその死体を見て涙を流した。
それはこの家族の誰かによる犯行だと知っていたから、
家族みんなでその死体を世間にばれないように処分する方向に決めた。

翌日もまた腐っていく死体に弟はそれを見て涙した。
男の崩れていく体に、
少しずつ臭う腐敗臭に昨日と同じように母も父も涙した、
でも一人、殺人犯だけは涙しなかった。
早く燃やしてしまえばいいと兄は思った、
が、家族は死体が腐って死体が原形をなくすまで死体を愛そうとしていた。

母は兄の部屋を掃除に入り、
そこを出るときに足元のペットボトルにオレンジジュースが入っているのを確認した。
でも何も言わず部屋を出た。
犯人以外のみんなが泣いた日、殺された遺体を隠す弟。
犯人が誰かわかっていても、犯人を家族みんなで守った。

23作品目【ピラミッド鳥瞰(ちょうかん)】

2014年03月13日(木) 05時02分41秒

【ピラミッド鳥瞰】
作者 光彦(半ヴァンパイア)

やわらかな灯油の燃えり香る景観と、その壁際にはピラミッド。
ライトの影のほがらかな…三角標の高みから。
おもむろ染み出すビールがすぐに、カウンターへと流れ出す。

人はピラミッド観賞せずに、ゼンマイ仕掛けに踊らされ。
あしもとヒラヒラお待たせ美人、ブーツはチョコに漬けたてで。
霧吹くアロマの調べに濡れて、足元キラキララメ畑。

ポインセチアに金色の、文字を浮かべて鐘が鳴る。
手招きするわ、待ってるわ。しくじり深き思い出よ。
祝いの席ほどのどかに澄まし、キャンドルのようにやわやわと。

24作品目【ピンポンダッシュで帰ってよ】

2014年02月15日(土) 00時39分55秒

【ピンポンダッシュで帰ってよ】
作者 光彦(半ヴァンパイア)

肉体が凍りつくのは40分おきくらいかな?
いざ温めなおす、命を延ばす天才よ。
天才は早死にするだって?
そんなバカな、命を延ばす天才よ。

見ろよ、この味噌汁、ほら栄養の宝庫
トマトはだめだって、昔毎日やってへこんだろ?
俺の夢は、ポイ捨て天国へ行くことさ
ほら、土足禁止だって言ってんだろ?

なんだとお医者さん、延命処置だってそんな、
俺の肉体は血液だってノリノリウイルスだぜ。
金を出せ、さもなきゃ出てけよケルベロス!
そっちはお風呂だ、金色湯船にぷかぷかタオル。

なにシークレットかきわけてんの?
ああ、彼に作ってあげようとしてんでしょー
ぬけがけは許さないからね!
ピンポンダッシュで早く帰れよ!

25作品目【マイナスの波紋】

2014年02月11日(火) 16時37分35秒

【マイナスの波紋】
作者 光彦(半ヴァンパイア)

地下鉄から駆け上がる人々は、
無い方無い方ばかりに行っては、
何もない場所を生み出す。

行き着く場所では、
不思議な明かりを灯して、
安らぐ人は決してときめくわけじゃない。

あらゆる傷を探して、
無い方無い方ばかりに行っては、
見当たらない痛みを闇雲に進んだ。

特に行きたくもない飲み会やパチンコに、
特に好きでもない人と行ってきた、
物足りない喪失感。

僕の態度の物真似を
僕の周りの人がしているように見えた。
ああ僕が自分の心とは裏腹に、
僕に出会う人全てを明るい気持ちにさせてあげられたらいいのに。

まるで大衆を集めたコンサート会場の主催者のように、
僕が悲しんでいたとしても、
僕と関わる誰かが満足に明るくなればいいのに。

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